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「いや、そこまでしなくていいんだが…。お前は『武』なのか?」
「…それはこの体の名前です」
「体?じゃ、お前は誰だ?」
「それは…申し訳ありませんがあなた様が思い出され、名を呼んで下さるまでは口にできません…」
青年は顔をあげ遼を見つめると、遼の片手を取り呟いた。
「しかし、忘れないでください。私はあなた様に忠誠を誓いました。
あなた様がどのような容姿で在られましても私の意志は変わることがありません…」
青年は遼の手の平に唇を落とした。それは、彼ら四人が遼に誓いをたてた時と同じ動作だった。
しかし、その動作をあの二人が黙って見るはずがなかった。
『ああー!!』
「それでは、遼様。また御機会がありましたらお会いできます。それまでは『武』としてあなた様のおそばに…」
その言葉を最後に、青年は立ち上がり光に包まれ、武に戻った。
姿が武に戻ると、彼は周りを確認した。そして、遼にもたれ掛かった。
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