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「今、気がついたんだが武の肩の傷が塞がっている」
荒の言葉に全員が驚いた。そして、昴がまじまじと空いていたはずの場所をみた。
「えっ…あ、本当だ」
「普通に肩で支えているよな」
「風穴が空いたとばかり思っていたんだが…」
「力が奪われたかわりに、傷が全て癒えたんだろ。それなら大丈夫だ」
最後に遼の言葉で締め括られ、その話題は終わった。そして、家に着いてから重大な問題に全員が直面した。
「あっ、ガラス割られていたんだ…」
「細かいのがないから全て見えるな」
「雨は吹き込んでいないな」
ご覧の通り、馬鹿二人は心配をしていないことが分かる言い草である。遼は慎重に中に入り、観察して全員に合図した。
「仕方がない、ガラスは明日にして今日は雨戸を閉めておくか」
全員が中に入ると、遼はスイッチを押して雨戸を閉めた。部屋は暗くなったが、じきに明かりが点った。
「さて、雷と昴、仕事だ。箒とチリトリで掃除をしてくれ」
『えぇー!』
「飲み物、夕飯、泊まり…」
『やらせていただきます』
遼が示した物に釣られる二人であった。
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