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『ドカッ』
急に遼の姿が二人の視界から消えた。
「遼、腹減った!」
「あっ、昴。抱き着くんじゃね!」
「…………」
足元では雷が昴の首を絞めていたが、その下で遼が不機嫌そうに潰れていた。
「…おまえら何をしているんだ!」
『あっ、武の口調がもどって…』
シュッと風を切る音が聞こえると、二人の姿は遼の上から消えた。そして、近くの木からは潰れる音が聞こえた。
「遼、大丈夫か?」
荒が二人に回し蹴りをあびせ飛ばしたようだ。彼は脚を下ろすと、武が遼を抱き起こし、服に付いたホコリを払った。
「たくっ、あの馬鹿どもは…俺の遼を潰すとは…」
本音が出てますね、武さんも…
「あぁ?」
武は虚空を睨みつけた。その様子に荒は首を傾げた。
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