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「たくっ、俺だけかよ、真剣に悩んでいるのは。もう、いい」
遼はキレた状態で一人門を出て行った。
最初に戻ったのは昴だった。彼は上に乗っかっている雷を押しのけ、遼の後を追った。
「あっ、待てよ。遼!」
「たくっ、参ったな。俺の女は」
「……あんまり無駄口叩くと何かが飛んでくるぞ、雷」
「へっ、こんだけ離れていて飛んでくる物なんてないよ。荒は変な所で硬いんだから」
「いや、前からじゃなくて」
「後ろから来るかもな」
「うわっ、…武か。驚かすなよ」
「言葉を選べ、雷。遼は束縛を好かない」
「さっきまでとは全然違うな。あれくらいでキレるなよ」
「……お前達二人がキレさせるような事をするからだろう」
雷、荒、武は二人より遅れて走っていた。これらの会話は全て走りながらのものである。
雨は小降りとなっていた。霧雨と変わって五人の身体を濡らしていた。
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