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「試す…だと?…良いだろう。だが、もしお前の言い分が違えば…分かっておろうな?」
袁紹は僕の目の前でそう言うと鼻で笑った。その表情は確信に満ちている。
「…分かっています。どんなご命令にも従いましょう。しかし、私の言い分が合っていれば…私を袁紹殿の側に置いて下さい。」
「…良いだろう。だが、どうやって試すのだ?」
「袁紹殿は本のどの辺りから不信感を抱きましたか?」
僕の問いかけに、袁紹は床にたたきつけた本を拾うとページをめくりだした。
そして、あるページで袁紹の手が止まる。
「ここだ。田豊(デンポウ)が洛陽(ラクヨウ)からの攻撃を進言したとあり、私は息子の病気を理由にその策を退けている。誰とは言えぬが確かに今、息子の一人は体調が優れておらぬ。だが、田豊からその様な策を聞いた覚えはない。」
「ならば田豊殿がその策を進言するか、進言しないかを試しましょう。」
「それは良いが田豊がすぐに現れるとは限らぬぞ。」
袁紹はそう言いながら、本を机の上に置いた。
「…そうですね。ちなみに、私が処刑されてどれほど経っていますか?」
「一ヶ月も経っていないが…。それとこれとどう関係するのだ?」
「一ヶ月ですか…。安心して下さい。結果は近い内に分かります。」
…ということは今は建安4(199)年か…。
実際、田豊が僕達の前に現れるのにそれほど時間はかからなかった。
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