あれは5月31日だった

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「隆史の奴、盲腸になったのかよ!」 教室で勇(ユウ)は驚きの声を上げた。 「ああ、だから今日、みんなで見舞いに行ってやろうと思うんだ。」 友人はそう答えた。 三時間後、勇の友達一同は、近くにある病院の前に居た。 「で、この病院の何号室に隆史がいるのか分かるのか?」 勇はため息混じりに言った。 勿論、隆史の方にはドッキリの要領で何も伝えていない。 「まあ、何とかなるだろ。」 友人の一人が何事もないように言った 「何とかって…」 勇は小さな声で言ったが、誰にも聞き取ってもらえなかったので、病院へ入って行く友人一同に渋々付いていった。 さすがにこの街有数の大病院だけあって、勇は友人達を見失ってしまった。いわゆる迷子である。 「あいつらどこいった?」 勇が困った顔をしながら曲がり道にさしかかろうとした。 その時だった。
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