シルビアとソラリス

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山は寒かった。雪の積もった斜面は歩きにくく、アーノルドは体力を奪われていった。 「私は……何のために生きてきたのだろうか?」 アーノルドは自分に問いかけた。その時、意識は朦朧(もうろう)としており、答えなど見つかるはずもなかった。 辿るべき道はない。山のどこに居るかも知れぬ魔女を探し、アーノルドは歩き続けた。 「寒い……寒い……」 悲しみだけが募っていく。今まで守ってきた国は虚構であったのだ、と彼は悟っていた。死が忍び寄る今、自分の生きてきた意味を見いだすことが出来なかったのだ。 アーノルドは石に躓き(つまづき)雪の上に倒れた。 いっそ、このまま死んでしまおうか? そんな考えが脳裏に閃き、アーノルドはそのまま目を瞑り、眠ってしまった。 その時、アーノルドの後ろには1人の女がいた。彼女は引いていたソリにアーノルドを乗せると、小さな山小屋へと運んだ。       *** 「それからどうなったの?」 興味津々といった具合に目を光らせて、シルビアは魔女に問いかけた。 「あらあら、まだ話は始まったばかりですよ?」 魔女は笑いながらシルビアに目を向けた。 「そうよ、あなたはいつもせっかちなんだから……。もう少し静かに聞きなさいよね」 ソラリスが真剣な表情でシルビアを咎めた。 「まあまあ、落ち着いて聞きなさい。私は話をやめませんから」 魔女は楽しそうに、そしてどこか懐かしそうに話の続きを語り始めた。
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