第0話

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「ぃ、や…!…ッやめて!もぅ、やめ、てっ!!」 少年の悲痛な叫び声があがる。それでも、その声は目の前の状況を止めることさえ適わない。 不規則的に聞こえる鈍い音に、少年は顔を歪める。しかし、涙は流さなかった。 首を振り、震える足を叱咤して、必死に声を出しながら害を為す者に突っ込む。相手をふらつかせることさえできないそれは、ただ相手の頭に更に血を上らせるだけであった。 「このガキ…ッ!優しくしておいてやったのによォ!?あぁ゛?」 その醜い声を聞き終えた瞬間、少年の身体は宙を舞っていた。 「ガッ、…ッ、…!」 空気が無理矢理押し出され、身体中に痛みが走る。殴り飛ばされた少年の身体は、等間隔に並ぶ長椅子にぶつかった。 .
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