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嬉しそうな顔で食べる少年に、優しそうに笑った男は、決心して少年に問い掛ける。
「なぁ、――ボウズ」
声色が変わった男に何かを感じたのか、少年は頬張っていた野菜から顔を上げ、男を見た。目で何?と返しているのがわかった男は、そのまま続ける。
「そういや、明日からアイツの娘が学校に行くよな…?」
その言葉に当て嵌まる人物が思い浮かんだか、ごくりと喉を鳴らして、少年は頷く。瞳が、揺れていた。
「おまえも、学校に行ってみるか……?」
その言葉が終わると同時に、皿が落ちる音がした。
少年が勢いよく立ち上がったためであった。だが、少年はそんなものには目もくれず、ただ男に飛び付いた。
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