3/5
前へ
/36ページ
次へ
つり上がった眉。 眉間に深く刻み込まれた縦皺。 瞳孔開いた、髪の毛より深い琥珀色の鋭い双眸。 その3つを兼ね備えた少女、夏目琴葉。 まるで相手を脅えさせるような眼光のせいか、彼女には友達が居なかった。 勿論、現在進行形で。 しかし、本人にそれを改善しようとする意思が皆無。 第三者が勝手に想像した彼女の事実無根な噂話だけが横行し、いつの間にか琴葉は完全に生徒や教師から恐れられる存在となってしまっていた。 しかも、他人からの誹謗中傷に慣れてしまった彼女にそれは大した苦ではなく、子供の頃から大好きだった御伽噺の世界にゆったりと誰からの干渉も受けずに浸れるのだから、むしろこの状況は彼女にとって都合の良いものだったのだ。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加