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琴葉が熱心に案内したところといえば、図書室の場所と自分好みの物語の並んでいる棚の位置。
それと非常口、消火栓、防火シャッターの位置。
重要ともいえる特別教室はといえば、
「あの廊下を右に曲がれば生物室、その奥が科学室。あとすぐそこの階段を下りて左手には家庭科室があり右に行けば被服室がある。それから……」
全部口頭での案内のみ。
こんなの案内で把握できる人間がいたら、心から尊敬してやってもいい。
「す……すまない。実は案内なんて初めてやったものだから」
「じゃあ始めから案内なんて申し出なきゃ良いのに」
「……む」
痛いところを突かれた琴葉の顔にびっしりと脂汗が浮かぶ。
それでは自分はどうすればよかったのだ?
他に何か、私に出来ることは――
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