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そして彼女はまた今日も一人、学校の屋上でのんびりと雲ひとつ無い青空を眺めている。
――いや、探しているのだ。
物語にあるような天空の城や、翼の生えた人を。
自分が夢を見すぎているのは十分すぎるほどに理解している。だが、これだけ美しい蒼穹なのだ。ただ頭上に広がっているというだけの認識で終わらせるなんて勿体無い。
琴葉は何となく、本当に何となく空に両手を差し出す。
何年も。何年も。
同じ事を繰り返して、今日もまた手を伸ばす。
諦められなくて。いつかは何か手に入ると信じて。
――その、瞬間だった。
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