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「剛宋、やめぬか」
苦悶の表情に涙を浮かべた少年は最高僧の言葉により束縛を解かれ、
なす術もなく冷えた床へとくずおれ失った空気を取り戻すかのように咳混じりの荒い呼吸を繰り返した。
手肘をついて本来の息を取り戻し始めた少年のそばへ腰をかがめ
慰めるような声音がもう一度問いを投げて寄越す。
「華菖。教えておくれ、あの者に一体なにが起こったのかを」
すでに数人の僧に抱えられてどこかへ連れ出されていった僧を案じてか
最高僧の目に憂いの色が浮かぶのをどこか釈然としない思いで拝しながら、
しかし恩義の主にそのような貌をさせるのもつらく
何と説明すべきかと茶の双眸が思案に細められた。
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