始まり

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ふと私は時計を見た。もうすぐ6時になる。親父が確実にパチンコ屋にいる時間だ。その当時は親父がパチンコ屋に毎日居たため家計は火の車で、母親も仕事に東京まで行っていた。 雨の中友達の家から自宅に帰ろうとゆっくり歩き出す。そこで一つの事実に気付く。 学校に朝向かうときに鍵を持たなかった事に。私の家鍵は落とさないようにと首から紐で下げているもので首筋に紐が無いため持ってきてない事がすぐに分かった。 一応家に向かい、ランドセルから財布(中身はテレカ)だけを取り出して台所の小窓からランドセルを家に投げ入れた。 親父に鍵を借りようと親父の携帯に公衆電話から電話を掛けるだが出ない。その当時の電話は電波もそんなによくなく、繋がらないのもしばしばだった。電話を掛け続けるより、パチンコ屋まで行った方が早いと思い、自分の体より大きい傘を手にしたままパチンコ屋まで歩き出す。
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