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そんなことを思い出しながらオレは目の前に振って来た、というか落ちてきたというか、とにかくその人物を抱き起こす。
それは黒い髪の少年だった。
瞳の色は閉じられているのでわからないが、肌の色やらの特徴は人間そのものだ。
ただ、背中の白い翼以外は。
…天使…いや、エンシェルか。
確かエルフの親戚のような種だったか。
背中に生やした白い翼が神話の中の天使のようだとかでその名前がつけられているんだったかな。
随分昔に本で読んだ説明を思い出す。
そこには確か、こうとも書かれていたはずだ。
人間による迫害で個体数は激減。今ではとても珍しい種族だ、と。
「おい、生きてるか?」
オレの問いかけに腕の中の少年は小さく呻き身じろぐ。
あちこち怪我をしているようだがとりあえず致命傷になりそうなものは見受けられない。
急いで魔法医に診せるなどはしなくともよさそうだ。
「仕方ない。つれて帰るか…」
言いながらオレはその少年を抱き上げた。
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