誰も幸せになれない

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松浦さんの証言が犯人を導き出すことに重要な役割を担っている。 今頃、犯人は焦っているはずだ。 「――あ…っ!思い出した! 新婦の杏子さん…後ろ姿しか見えなかったけど…あれは別人…? たぶん、別人だったと思います」 「そうなんです…実は松浦さんが杏子さんの部屋を訪ねた時… 杏子さんは、別人と…育美さんと入れ替わっていたんです。 本人の口から、聞き出しました」 「――えっ!本当ですか?!💦」 「何のために…」 「若林さんと会うため…です」 みんなの視線が3人に集まる。 「……今だから打ち明けますけど…私、結婚したくなかった。 …でも、新しい事務所からの命令だから割り切るつもりだった。 これは『仕事』なんだって。 だけど…やっぱり、ムリ。 私には和彦さんしかいない――」 「…いつまで、そんな安い芝居を続けるつもりなんだよ…! そんなことして…なんになる?」 (な、直人っ!また勝手に…) いいから引っ込んでな。 「どういう意味…?」 「アンタに、ドラマの話が来ない理由が何となく分かるよ。 そんなダイコン役者ぶりじゃあ…誰も採用しねーよな。ホント… 見てて笑えてくるぐらい… マジで滑稽な芝居だよなぁ…!」 「直人が出たーっ!」 「直人…!言いすぎよ!💦」 外野がうるせぇな。 (あ~…もうっ!好きにして💧) 言われなくても好きにするさ。 「ちょっと!ひどいわよ! だれがダイコン役者だなんて…」 「アンタもだよ」 「なんですって…!」 「育美…っ💦」 こいつらの表情を見れば分かる。 それらしい顔つきになったぜ。 「アンタは雪野杏子に頼まれて、彼女のドレスを着ていた。 その間…雪野杏子と若林和彦は、つかの間の逢瀬を楽しんだ。 アンタたちは、お互いにアリバイ証明をしながら別のことを… 本当は違う目的を遂行していたんじゃないのか…?違うかい? その顔…図星なんじゃねぇの?」 「な、なんのことよ…! 言い掛かりは、やめて頂戴!」 メンドくさい女だな。 (……代わろうか?💧) いい…オレがやる。 そうだ…オレがやるんだ。 オレがやらなきゃいけないんだ。 「単刀直入に言うか…加護誠治を殺害したのは…アンタらだろ? アンタら3人が犯人に違いない」 オレが化けの皮を剥いでやるよ。
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