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『…名前。』
「え?」
『何ていうの?』
彼は相変わらず瞳をそらさない。
「…円香。…神山 円香」
私は言われるがままに答えた。
『ふぅん…神山 円香ね…』
彼は興味なさそうに言う。
「あ…貴方は…?」
『俺?横瀬 誠人』
誠人…
「横瀬 誠人クン…」
私はゆっくり名前を繰り返す。
幸せを噛み締めるように…
『誠人でいいよ。クンとかめんどい
し』
「誠人…?」
『うん』
誠人は大きな欠伸をする
それが何処か可愛くて…
愛らしくて…
私は笑ってしまった
『何、笑ってんだよ?』
誠人は少し顔を赤くして、不機嫌そうに言う。
「なっ…なんでもないです…」
『まぁ、いいけど。』
誠人はそう言うと、瞼を閉じた。
私は、しばらく誠人を見つめる。
『いつまで、いるの?』
細目を開けて私を見る
「あっ…ごめんなさい…」
私は立ち上がった。
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