出逢い

4/6
前へ
/113ページ
次へ
    『…名前。』     「え?」     『何ていうの?』   彼は相変わらず瞳をそらさない。   「…円香。…神山 円香」   私は言われるがままに答えた。   『ふぅん…神山 円香ね…』   彼は興味なさそうに言う。   「あ…貴方は…?」   『俺?横瀬 誠人』   誠人…   「横瀬 誠人クン…」 私はゆっくり名前を繰り返す。 幸せを噛み締めるように…   『誠人でいいよ。クンとかめんどい  し』     「誠人…?」     『うん』   誠人は大きな欠伸をする それが何処か可愛くて… 愛らしくて… 私は笑ってしまった   『何、笑ってんだよ?』   誠人は少し顔を赤くして、不機嫌そうに言う。   「なっ…なんでもないです…」     『まぁ、いいけど。』 誠人はそう言うと、瞼を閉じた。    私は、しばらく誠人を見つめる。    『いつまで、いるの?』 細目を開けて私を見る     「あっ…ごめんなさい…」     私は立ち上がった。      
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加