第一章‐希望、絶望

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「部長も大変だよな。あいつが起こした事件の責任を取らなきゃいけないなんてさ」   「それでも舞ちゃんを執拗に責めたりしないし……」    さっきから明らかに悪者扱いされている舞というのは、オカルト研で僕が見える最後の一人、舞姫舞(まいひめまい)だ。    茶髪のポニーテールで、深恋と同じ二年生。  三度の飯よりイタズラが好きで、生徒会や風紀委員、教師たちに目の敵にされているほど、あいつが校内で起こした問題は多い。  この一か月だけでも、黒板に白い絵の具で落書きしたり、校長の銅像にカツラを被せたり、廊下で短距離走のタイムを計ったり、図書室で大声張り上げて司書さんに質問したり……他にもまだまだあったけど、思い出すのが疲れるほどだからやめておく。    で、そんな数知らずイタズラを繰り返す舞と一緒に怒られるのが、部長なわけだ。  どういう経緯でそうなったのかは知らないけど、今日もまた部長が向かったところを見ると、必然的にそうなっているようだ。    そして部長が舞を迎えに行ってしまったため、今僕は深恋と二人きりになってしまっている。   「……暑いな」   「そだね……」    ……き、気まずい。    部長は高嶺の華だからという意味でそういう考えに至らず、二人きりでも全然平気なんだけど、深恋の場合はちょっと、なぁ……。  同年代の異性と二人きりっていう状況に加え、妙な勘違いをされるだけでも除霊されかねないっていうのがプラスされるため、緊張してしまう。
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