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もし、この場で僕が破廉恥な行動に出たとする。
~悠の妄想・除霊編~
「それっ!」
「きゃあ!」
僕は深恋のスカートをめくった。
「ふふふ……」
「悠くん、やめて!」
必死に叫ぶ深恋。
「だが断る!」
「ええ!?」
ジリジリと深恋に迫る僕。
もう僕を止められるやつはいない。そう思ったときだった。
「……なっ、なんだその姿は!」
今まで深恋が座り込んでいた場所に、巫女服に身を包んだ少女が立っていた。……誰だ?……深恋?
「なら、この稲垣深恋。巫女としてあなたを除霊するわ!」
なんと、超高速で着替えたようだ。
「ちっ」
舌打ちをして、後ずさる。
なんだ、この力。これが、これが巫女の力なのかっ!
「悪霊退散!」
「ぐ……ぐあぁ────────────!」
「……悪は滅びるのよ」
「く……だが、まだ甘いな」
「なんですって?」
「この姿の八雲悠が消えようとも、必ず第二、第三の八雲悠が現れることだろう……」
「そんな……やっと倒したのに!」
「ふふふ……所詮は見習い、だな。詰めが甘、い……(バタリ)」
~終わり~
……それはマズイ! なんか僕、めちゃくちゃ悪霊だったし、最後とかなんか魔王っぽかったし!
ていうか、深恋強いなおい。見習いのくせに、あんな強いのかよ。
僕が見習い巫女である彼女の顔をなんとなしに見ていると、目があってしまった。
「──っ!?」
刹那、目を逸らされた。
……あれ、嘘。やばくない、これ? 僕、深恋に嫌われてない? だとすると、マジで僕、除霊されるかもしれない。……どうしよう。
そうだ。近々この辺で開かれる七夕祭りにでも誘って、新密度をアップするか。
覚悟を決めた僕が深恋に話しかけようとしたとき、本日三度目の扉が開く音が響いた。
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