Α=小説

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『何が?』 そう答えるしかなかった。Α氏の質問の意味が理解できなかったから。 彼は一息おいて、口を開いた。 『珍しく誰の意見でも通していたから、何か別のことを考えていたのだろう、と僕は思っている。 不満をもっているようにも思えた』 『不満?会議に?』 『全体としてだ』 彼は立ち上がり、少しの間どこかを見つめ、それから目線を下におとした。 『私は』 私は呟いた。彼の質問の意味が何となく繋がっていた。 『つまらない、と思う』 彼は私を見た。 私は自分の言葉の意味を自分でもあまり理解できないままだった。 Α氏はふいに微笑んだ。 『僕もそう思う。 君も相当変わり者だな。』 .
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