‐月灯り‐

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外に出たら、酔っている俺には丁度いいほどに寒かった。 「……さ…さみぃ…」 鼻先が冷たくなっているのがわかる。 芯まで冷えた空気が肺いっぱいに広がる。 (…染みるなぁ。) どこに?と聞かれたら、もちろん“心”に、と答えるだろう。 いつか、自分もあんな日が来るのだろうか。 もちろん、学生の時はある程度の恋を経験した。 しかし結婚という言葉を連想させる女の子とは出会ったことはなかった。 (結婚かぁ。…まだまだ先のことかと思ってたのにな。) 結構気にしている自分に驚いている反面、やはりどこかで、自分にはまだまだしっくりこない感覚を覚えていた。 そんなモヤモヤした気持ちで、電車に乗り込んだ。
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