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しかし、それは予想に反して母からではなかった。 母ならば登録されているので『クソババア』と表示されるはずである。 「…え?」 早百合は意外という顔をした。 それはそうだろう。 本来、この携帯電話に母以外からメールが届くなどありえないのだ。 早百合の持つ携帯電話は、母が早百合といつでも連絡を取れるよう、いつでも呼びつけられるように渡されている物だった。 勿論、料金は早百合が払っている。 そんな早百合を拘束するツールであり、早百合を拘束するツールでしかないこの携帯電話。 誰にも、香奈々にも、他の友達にも番号もアドレスも、携帯電話を持っている事さえ教えてはいない。 さすがに、バイト先には番号だけは教えているが。 アドレスは母以外知らない。 その携帯電話に母以外からメール。 意外以外の何者でもない。 .
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