143人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、それは予想に反して母からではなかった。
母ならば登録されているので『クソババア』と表示されるはずである。
「…え?」
早百合は意外という顔をした。
それはそうだろう。
本来、この携帯電話に母以外からメールが届くなどありえないのだ。
早百合の持つ携帯電話は、母が早百合といつでも連絡を取れるよう、いつでも呼びつけられるように渡されている物だった。
勿論、料金は早百合が払っている。
そんな早百合を拘束するツールであり、早百合を拘束するツールでしかないこの携帯電話。
誰にも、香奈々にも、他の友達にも番号もアドレスも、携帯電話を持っている事さえ教えてはいない。
さすがに、バイト先には番号だけは教えているが。
アドレスは母以外知らない。
その携帯電話に母以外からメール。
意外以外の何者でもない。
.
最初のコメントを投稿しよう!