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「遅い」 バイトから帰った早百合を迎えたのは、さっきと変わらぬ体勢の母からのさっきと変わらぬ言葉だった。 「さっさと夕飯食べて寝な。目障りだ」 しかし、夕飯は当然、用意されてなどいない。 この母が、わざわざ早百合の分まで用意するわけがない。 まあ、自分の分は用意するだけマシではある。 早百合は台所にあったカップヌードルを作って食べた。 その空容器をゴミ箱に捨て、風呂に入る。 「…あ」 そこで、明日が可燃ゴミの日であった事を思い出し、再び台所へ。 ゴミ捨ても、当然早百合の仕事だった。 ゴミ袋の口を縛り、明日学校に行く時に忘れず出せるように玄関に置いておく。 「これでよしっと」 と独り言をつぶやき、自室へ。 布団に寝そべり、眠りについた。 .
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