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翌朝。 当然、起きてきてもいない母は放っておいて、朝食(カップヌードルのシーフード)を食べて家を出る早百合。 「…」 勿論、行ってきますも言わない。 忘れないように玄関に置いておいたゴミを持って、早百合は玄関の戸を閉める。 鍵も忘れずに。 早百合は、一旦ゴミを収集所に出してアパートに戻り、香奈々の家の戸をノックした。 一応言っておくが、このボロボロアパートに呼び鈴など存在していない。 ノックの際でさえ、あまり強めにしてはならないという暗黙のルールがある。 強めにノックをすると、戸が壊れるのだ。 それほどの年期の入ったボロアパート、呼び鈴などとうの昔に壊れてしまっている。 そのまま放置している大家だが、家賃が格安だからそのくらい仕方ないだろうと無理矢理住人に納得させている。 .
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