ナツノオモイデ

始

「ほいほい、ちょっと待ってね～」

戸の向こうから香奈々の声。
丁度靴をはいているところだったらしい。
少しして、

「ういうい、お待っとぉ～」

と元気よく出てきた香奈々。
強めにノックしただけで壊れる戸をそんな勢いで開けてよく大丈夫なものだとは思うが、長年住んでいる間にどの程度までなら大丈夫か、感覚で学んだのだろう。

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