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暑い。 とにかく、暑い。 夏休みまであと四日と迫った頃、教室の机に座り、外を、外の太陽を恨めしそうに睨みつける紫早百合(ゆかり、さゆり)の頭の中にはこんな愚痴がグルグルと巡っていた。 暑い、暑い。 なぜこうも夏とは暑いのか。 そんなものは、夏だからに決まっている。 そうわかっていながらも、早百合は頭の中で愚痴を言うのを止めない。 もっとも、頭の中なら誰にも迷惑はかからないので構わないが。 「ねえねえ、早百合~」 そんな愚痴がグルグルと頭の中を巡っている中、早百合を呼ぶ声がした。 それに対し、 「…ふぇ?」 などと間抜けな返事をする早百合。 .
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