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その文面の下に、地図が添付されていた。 が。 最も目を引いたのは、その文面と地図の間にあった一文。 『追伸:もしも約束破って来なかったりしたら』 早百合は暑さの為にかいているのとは違った、ゾクリとした汗を書いた。 『君はこの世とサヨナラさ』 その追伸は、そう締めくくられていた。 「…」 「…」 嫌な沈黙。 そのせいか、いやに蝉の鳴き声が響いて聞こえた。 「…イ、イタズラだよこんなの!気にすることないって、香奈々!」 自分の恐怖も振り払う為、明るく言う早百合。 「無い無い、それは無いよ早百合」 しかし、香奈々は青ざめた顔のままで言う。 「な、なんでよ?」 ただのイタズラであって欲しいと願いながらも恐る恐る尋ねる早百合。 「だってだって…」 香奈々は早百合の手から携帯電話を取り、その画面を示して言った。 「これ…アドレスの所、何にも表示されてないんだよ?」 香奈々に言われ見てみると、確かにそのメールは本来アドレスが表示されているべき場所が空白だった。 「こんな事…出来ないはずなのに…」 早百合もアドレスを非通知にする方法など聞いたことが無かった。 .
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