143人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、その日の放課後。
早百合はバイト先に連絡を入れ、今日から夏休みの二日目まで休ませてもらう事にした。
理由は、母が死んだことにしようかとも思ったが、絶対に何かしらの形でバレる気がしたので、遠方に住む祖母が亡くなった事にした。
早百合が心の中で『ごめんね、おばあちゃん』と、実際は元気に畑仕事をしている祖母に謝ったのは言うまでもない。
そして、そのまま二人でファミリーレストランでドリンクバーだけを注文し、当日の事について話し合った。
メールに添付されていた地図の場所は、早百合達が住んでいる町の外れにある山の中だった。
その山は歩いて行ける距離だったので、交通費の心配はいらなそうだ。
とは言え、途中コンビニで食料や水などは買って行った方がいいだろうということで、それなりの資金は持って行く事になった。
「そういえば、集合時間とかってあるのかな?」
「えとえと…特にメールにはそのあたりの事は書かれてないね」
さてどうしよう、という事になったが、早百合が「遅れるよりは早く着いた方がいいよ」と提案したため、早朝六時に出発となった。
もっとも、この提案は早百合が母に気付かれたくなかったからした提案だったのだが。
そうして話し合っているうちに、いつも早百合がバイトから帰宅している時間になっていた。
他の事は明日話し合おうと、その日は帰る事にした。
.
最初のコメントを投稿しよう!