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「…本当に、大丈夫かな…」 不安そうに俯きながら言う早百合。 「…本当に、このトンネルを抜けちゃって大丈夫なのかな…」 早百合は先ほどの不安を拭えずに言う。 もしも、本当に地獄に着いてしまったら。 もしも、自分達を狙う者が出口に居たら。 もしも、自分達が危険な状況になったら。 どうしよう、と。 「…でもでも、そんな事言っても行かなきゃじゃない」 そう言う香奈々を早百合は見る。 香奈々は小さく震えていた。 そこで早百合は思う。 香奈々も怖いんだ、と。 自分だけじゃないんだ、と。 「うん…そうだね。ごめん、行こう」 努めて明るく言う早百合。 ここで香奈々と自分の不安を増幅させても意味はない。 どちらにしても行かなくてはならないのだ。 早百合と香奈々は光の見える方へと歩きだした。 .
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