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「ねえねえ、それよりさあ、早百合」 自分にとっては『それより』程度で端に置いておけるような問題ではないのだが、などと考えながら「ん~?」と至極だるそうに香奈々を見る早百合。 「ほらほら~…テテレテッテテ~、新しい携帯~」 「…」 正直、暑さで参っている時には面倒なテンションではあったが、そこは友情パワーで乗ってあげる事にした早百合。 「それは何が出来るのさ、ドラえもん」 「これはね、いつでも電話が出来るんだよ~」 その後、メールが出来るだのカメラが使えるだのテレビが観れるだのと、最近では比較的当たり前になった機能を延々と説明された。 そろそろ勘弁して欲しくなって来たところで、 「そして一番の売りは」 といい、携帯電話を開いて、 「ここが回るんだよ~」 などと言いながら携帯電話の画面をクルリと180度回し、早百合の方へ向けた。 一番の売りがそれかよ、とは思っても言わないでおいてあげるのは早百合の優しさだった。 「そうそう、因みに~」 と言い、携帯電話の画面を早百合の方に向けたままカメラ機能を起動するなどという器用な真似をする香奈々。 「ほらほら、今の早百合ってば、こんな感じ~」 香奈々の携帯電話の画面には、ダラリと机に張り付いている早百合が映っていた。 「うわ…暑苦しい…」 自分で自分の姿を見て言う早百合だった。 .
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