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二人は驚いて自分達が通ってきたトンネルを振り返る。 そこには、二人の男性が立っていた。 一人は白髪混じりの短髪に上着を脱いでネクタイを外したスーツ姿の中年男性。 シャツのボタンは第三ボタンまで外されていた。 もう一人は黒々としたセミロング、こちらも上着を脱いでネクタイを外したスーツ姿の青年男性。 シャツのボタンはきっちり留めていた。 「はぁあ…確かにこれは辺鄙な所ですね。学校…でしょうか?」 青年男性が中年男性に言う。 「みてぇだな。なんでまたこんな所に集合なんだか」 中年男性は面倒そうに言う。 「…あれ?あの子達は…」 青年男性が早百合達に気付いた。 「あぁん?なんでこんな所に子供がいんだぁ?」 中年男性は怪訝な顔で早百合達を見る。 「おい、田中。お前、話かけてこい」 「はい…しかし、なんで僕なんですか?」 「ばかやろ、ああいう若い女にゃあお前みたいな若い男の方がいいだろうが」 と、早百合達には聞こえては意味のない気遣いを大声で言う中年男性。 「はあ、そういうものですか」と、納得したのかしていないのかわからない返事をし、田中と呼ばれた男性が早百合達に近寄って来た。 .
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