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自分達も名乗ろうと口を開いた早百合を、桜亥は「ああ、お前さん方の事は聞いたからわざわざ自己紹介しなくていいぜ」と止めた。 「で、お前さん方もこの訳わかんねぇメールで呼び出されてここに来たんだってな」 早百合に携帯電話を返しながら言う桜亥。 「私達…も?」 その携帯電話を受け取りながら聞き返す早百合。 「…おう。俺らがここに来たのも」 言いながら、ズボンのポケットから携帯電話を取り出し、画面を示す桜亥。 彼方もそれに習い携帯電話を取り出す。 「この妙なメールがきたからなんだよ」 そう言う桜亥と彼方の携帯電話の画面には、早百合達の元にきた例のアドレスの無いメールが表示されていた。 「刑事さん達も…」 「はい。この文面、何かの事件になりかねないと判断しまして」 「まあ、俺らが勝手に判断したんだけどよ」と彼方の言葉に付け足す桜亥。 「事件に、ですか」 「おう。文面的に、な」 確かに、事件性を感じない事もない。 特に、追伸が。 それを個人で判断して動くこの二人は、行動力のある所謂名刑事なのかもしれない。 .
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