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「しっかしなぁ…こんな所にこんなもんがあるなんて、聞いたこともねぇぞ?」 桜亥は頭をかきながらボロボロの校舎を見上げる。 彼方も一緒に見上げる。 「私達もこんな所があるなんて知りませんでした」 早百合達もつられて見上げた。 四人がボロボロの校舎を見上げていた、その時。 「うひゃあ、なんだここ!?」 またも、早百合達の背後、つまりトンネルの方から声がした。 四人が振り返ると、そこには小学生(それも低学年くらい)の同じヒーロー物の色違いのシャツを着た男の子が二人、先程までの四人と同じようにボロボロの校舎を見上げていた。 「…あんなガキんちょまで呼び出されたのかよ…」 桜亥が言う。 「…彼方」 「はい。また話を聞いてくればいいんですね?」 彼方は桜亥の指示を先回りし、男の子達の方へ歩いて行った。 「…一体、何人くらいにメールいったんだろう…」 彼方が男の子達としゃがんで話しているのを見ながら早百合はぼそりと言った。 「えとえと、とりあえず四人は確定。あの子達もそうなら、最低でも六人って事だよね」 香奈々が指折りしながら言う。 その数え方、十人以上になったらどうするんだろうなんてことを早百合が考えていると。 「…いんや、最低七人みてぇだぜ?」 と、桜亥が腕組みしながら会話に入ってきた。 言われて早百合と香奈々が再びトンネルに目を向けると、今度はアロハシャツにジーンズ姿の男性が立っていた。 その姿に、早百合は見覚えがあった。 「え、こ、木林さん…?」 そう、そこに居たのは早百合のバイト先の先輩、木林森だった。 .
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