143人が本棚に入れています
本棚に追加
その時、彼方が男の子達を連れて早百合達の所へ戻ってきた。
「やっぱり、彼等も我々と同じようです」
と、桜亥に報告し、男の子達の物と思われる携帯電話を桜亥に見せている。
携帯電話もシャツと同じく色違いの同機種だった。
早百合はその後も何か話し合っている桜亥と彼方から、男の子達に視線を移した。
「初めまして」
しゃがんで笑顔で男の子達に話しかける早百合。
同じ背格好で同じ短髪で同じ顔をした男の子達が同じ仕草で早百合を見た。
男の子達は双子だった。
しかし、見分けは簡単についた。
何故なら、一人は眉を八の字に、もう一人は逆八の字にしていたからだ。
「私は紫早百合っていうの。あっちは原羅香奈々。君達の名前も聞いていいかな?」
その問いかけに対し、双子は全く違った反応を見せた。
一人はもう一人のうしろに隠れてしまった。
もう一人は、
「おれは狛犬右様(こまいぬ、うさま)だ!コイツは狛犬左様(こまいぬ、さよう)、おれの兄貴だ!」
と、威勢よく答えた。
しかし、その反応は早百合の予想とは正反対だった。
というのも、うしろに隠れてしまった左様が逆八の字、威勢よく答えた右様が八の字眉だったからだ。
強気に見える逆八の字の左様が弱気で、弱気に見える八の字の右様が強気。
第一印象とはあてにならないものだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!