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「ほら、兄貴も挨拶しろよ!」
右様に言われ、右様のうしろから顔だけを出す左様。
「よ、よろしく…」
それだけ言い、再び右様のうしろに隠れてしまった。
「えっと…右様君達も、メールがきたんだってね?」
「そうだぞ!さゆ姉とかな姉もか?」
既にあだ名呼びだった。
「そうそう、そうなんだよ~」
この質問には香奈々が答えた。
ここに来た時より元気になっていた。
早百合と二人だけじゃない、とわかって少し安心したのかもしれない。
「全く、迷惑だよな!気味わりぃし!」
「ほんとほんと!責任者、出てこ~い!みたいな」
「せ、責任者はいないと思う…」
なんだか香奈々と右様、左様はすぐに仲良くなっていた。
もしかしたら、精神年齢が近いのかもしれない、などと考えながら早百合は立ち上がる。
「いやあ、元気いいね、子供は」
桜亥と彼方の話が終わるまで暇だから、と鬼ごっこを始めた香奈々と右様、左様を眺めていた早百合の隣に森が来て言う。
「まあ、約一人子供でないのも混じってますけど」
「ははっ、確かに」
「…これから、どうなるんでしょうね、私達…」
俯き、言う早百合。
「…とりあえず、メールの主から何らかの合図があるまではこうしているしかないね」
森は答えながら、ふと校舎に目をやった。
「…ん?」
そこで、森は何かを見つけたような声を出した。
「どうしたんですか?」
「ほら、あれ」
早百合の問いかけに対し、校舎の昇降口を指差し答える森。
早百合が森の指差す方を見ると。
「…あれ?人…?」
そこには今まさに校内から出て来た三人の人影があった。
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