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「…と。では、皆さんこの名前で間違いない、と言う事でいいですね?」 彼方の問いにそれぞれ頷く。 「さあて、とりあえずこれで今いる奴らの把握は済んだな。まだ誰か来るかもしれねぇが…」 桜亥がそう言った瞬間。 ギィ… どこからともなく、そんな音が響いた。 「…な、何…この音…」 ざわめきながら、全員が周りを見回す。 ギィ…ギィ… その間も、音は響く。 ギィ…ギィ…ギィ… それは、徐々に早く。 ギィ…ギィ…ギィ…ギィ… それは、徐々に大きく。 ギィ…ギィ…ギィ…ギィ…ギィ… 「…ねえねえ、あれ!」 その時、香奈々が音の出所を見つけた。 ギィギィギィギィギィギィ 香奈々が指差す方には。 ギィギィギィギィギィギィギィ 錆びに錆びた、ブランコ。 ギィギィギィギィギィギィギィギィ その一つが、風も無いのに揺れていた。 .
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