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「…まだ来るのかよ…!」 桜亥が呟く。 「みなさんもっと離れて下さい!」 彼方が全員に言う。 「おうメットのあんちゃん、その坊主達は任せるぞ!」 厳に言いながら自分も離れる桜亥。 厳は頷いてそれに応じ、右様と左様を両脇に抱えて避難した。 やはり土木作業でもしているのだろう、相当な力だ。 と、そこで。 先程よりも早く、バキンという音が、二つ重なって響いた。 今回はあらかじめ避難出来ていたので、その二つのブランコはただ地面に叩きつけられた。 「…なんなの、これ…」 早百合が小さく呟いた次の瞬間。 「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」 突然。 突然、校庭に、子供の笑い声が響いた。 無論、左様でも右様でも無い。 「はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」 早百合達は各々周辺を見回すが、笑い声の主は見当たらない。 「はははははははははははっ」 笑い声は始まりと同じく、突然止まった。 .
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