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「…」 そして、静寂。 錆びた鉄同士の擦れる音も、謎の笑い声もなく、誰も一言も話さない。 当然だ。 次は、何が起こるかわからないのだ。 全員、身構え、周囲の変化に精神を集中させざるを得ない。 「…もう、何も起きな」 いのかな、と森が言おうとした時。 「ようこそ」 先程の笑い声と同じ、子供の声が校庭に響いた。 「ちゃんと約束、守ってくれたんだね。嬉しいよ」 子供の声は、本当に嬉しそうに言った。 「手前ぇがメール寄越した野郎か!?」 ニット帽の男、乍が姿の見えない声の主を探しながら大声で言う。 「うん、そうだよ」 声の主は楽しそうな声で言う。 「十三人、かぁ。随分不吉な人数集まったね。あはは。まるで絞首刑の台の階段の段数じゃない」 声の主は尚も楽しそうに続ける。 「本当はあのメール、二十人に送ったんだけどね。残りの七人には約束、破られちゃった。だから」 声の主はあくまで楽しそうな声で続ける。 「サヨナラ、して貰っちゃった」 まるで、何か悪戯でもしたかの様に声の主は言った。 早百合は、ゾクリとした。 もしも、あの時、ただのイタズラメールだと思って無視していたら… 考えたくもない。 嫌な汗が背筋を伝う。 「…何をしやがったんだ…!?」 桜亥が乍と同じく、声の主を探りながら訪ねる。 「ん~…色々?」 声の主は楽しそうに答える。 .
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