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――なぁ奈美、俺さ…
お前の最初で最後の願い
叶えらんねぇや…――
いつも俺の家出に文句も言わずついて来てくれたよな
まつと利に見つかって一緒に逃げたりしたこと
何でも俺を優先して、俺に合わせてくれた
奈美の願いを聞いたときも
『私は願いなんてないよ?慶次のそばにいるだけで幸せだもの』
つって笑って見せたよな?
本当はもっと願いがあったんじゃねぇのか?
戦の起こっている戦場の近くを通ったとき、いきなり一本の流れ矢が俺目掛けて飛んできた
反応の遅れた俺をかばった奈美がゆっくりと地に落ちる
矢はちょうど肺を深く射抜きその動きを止めた
『かはっ!!…ぐっ…』
苦しそうに顔を歪め口から血を吐く
そう長くは保たないだろう。
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