・壱・

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  「いつまでって言ってたっけ?」  「SHRまで」  図書室に入ると、つい目を見開いてしまった。  ……この量を?紅花がすごい量だと言ってたのは確かだけど。  「こんなにあるとは思わなかった」 「えへへ」  『えへへ』じゃねー  「仕方ない。二人でやれば半分くらいにはなるかもしれない。急いでやろう!」  私達は重なっていた大量の本を手当たり次第に集めてジャンルごとに収めていく。   数十分があっと言う間にすぎていく。 「桔梗ーもぅそれで最後にしよ。もう先生が教室に来る」  「いいの?」 「うー!仕方ないもん……自分が悪いから。ちゃんと先生に怒られてきます」 「まっ。それもそうだね」  そう言って私は笑うと手に持っていた一冊の本を棚におこうとした。でも…収めようとした手を止める私。  ……なんか、他の本と違う?ってか冊子みたい。  そしてそれをペラペラとめくってみた。  「筆で書かれてる…?」   中の文字はすべて筆でかかれていた。  ―――あの日から私達の物語が始まった。  一枚目にはそう一行だけ書かれていた。お伽草子とかの歴史書かな??それとも古典とかでよく扱う昔の人の日記かな?  私は古典といった昔のものが好きでよく源氏物語とか落窪物語とかを読んだりしている。これは友達にもあんまり言えない好み…かな。先輩とかには絶対に言えない。先輩は日本史とか古典は、あまり好きじゃないって言ってたし。  中はとばして最後のページを開いた。そこには……   ―――愛を込めて。桔梗。  そう書かれていた。私の名前と同じ……更に興味を持ち、もう一度、最初からページをめくろうとした瞬間に紅花が私の名前を呼んだ。  「本なんか読んでる時間なんかないよ~早く行こう!」  私は仕方なくその本を本棚に収めてから教室へと向かった。  .
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