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すぐに先輩の動きが止まった。
「先輩――?」
「桔梗。嫌ならいいんだよ…無理しなくても…だから…泣かないで」
私は自分が泣いていることに全く気付いていなかった。
どうして??私は先輩が好き。だから…なんだってできる…はずなのに。
私は自分に対しての苛立ちと先輩に対しての申し訳なさでその場にいるのが駄目なような気がして、制服を着直すとすぐに荷物を持って先輩の部屋を飛び出した。
「ごめんなさい!」
そう一言謝ってから。先輩は何かを叫んでいたけど私には届かなかった。
-*-
「ただいま―…」
私がリビングにむかうと水月お兄ちゃんと葉月お兄ちゃんがすこし怖い顔をしてソファーにかけていた。
「遅いですよ。はやく帰ってくるように言ったはずですが?」
「…ちょっと生徒会のことで遅くなっただけ」
「…それならちゃんと連絡しなさい。何のための携帯ですか」
「話しなら明日にして…今日はもう疲れたの」
「そういうわけにはいかないのですよ…我が姫…」
……聞き間違い?
「今日は本当に大切な話しだったのですよ。姫には今から戦国時代に行ってもらいます」
………?
「戦国時代?はぃ?」
「私達はこの時代の人間ではありません。戦国の世に生きています。」
「は??私は姫なんて名前じゃないよ!冗談でも止めて。何言ってるのか分からない!」
「姫の帰りが遅くなったので説明する暇がなくなってしまいました」
今度は葉月お兄ちゃんまで――…
「何いって―――!?」
私はお兄ちゃんに何か粉のようなものをまかれた。それを吸うといきなり眠気がしてきてそのまま意識は遠退いていった――…
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