・壱・

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   家の近くに着くと、先輩はいつもキスをする。短いけどとても優しい…キス。私は先輩とするこの小鳥みたいなキスが好き。友達にはディープキスの方が気持ちいいから好きとか言ってる子がいるけど…絶対こっちのがいい!   まぁ人それぞれか。   「じゃあ明日、また学校で」   「はい!また明日です」  先輩と別れて家に入ると、今日この時間にはいないはずの兄達の靴が並んでいるのに気付いた。するとリビングから帰って来たことに気付いた兄達が玄関にやって来た。 「なっなんで……!!」 「……せっかく出迎えてあげたのに……ただいまも言わずにそれですか。」 「今日はサークルの飲み会だって……!」 「飲み会中止になったんだ。いきなりバイトとか居残りとかでさ~だから早く帰ってきてたんだ。」 「へ、へーそうなんだ……」  それはそうと……ばれてないよね?私は靴を脱ぎ家に上がる。そのまま足早に部屋へと直行しようとする。……と兄達に片腕ずつ掴まれた。  「さっき窓から見えてたんですけど……あの男、誰です?」 双子の兄達の片割れである水月お兄ちゃんが笑顔で尋ねた。   目、笑ってないし! 「知らない。近所の人じゃないの」 「しらっばくれるつもりか?桔梗ちゃん、高校生になったんだし、もっと賢くなんないとな。お前の彼氏?」  そう言って顔を近付けてきたのはもう一人の兄、葉月お兄ちゃん。 「…違うよ!彼は……学校の“ただの”先輩で、家の方向がたまたま一緒なだけ!」  だめ。この二人に昴先輩が私の彼氏だってばれちゃだめ。  「……ふーん。桔梗は好きでもない異性とさっきみたいなキスをするんですか?そんな節操のない女になったんですか?」 「は!?そんなわけないし!私は好きな人としかしな………ぃ」  二人の顔を見るとニヤニヤしている……うっ……墓穴ほった。  「そうか!好きな人か…ってことは付き合ってんだな?名前は?年は?」 .
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