寒いと思うから寒いらしい

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「あ……もうお昼ですか……ではご飯の支度してきますね」 そう言って布団から出るパジャマ姿の優里。さっきまで出たくないと思っていた俺を一瞬で越えて見せた。 「あ、ああ」 少し寝癖のついた頭のまま、優里はフラフラとドアに向かっていく。 だ、大丈夫か? ゴン 「ぐえっ!?」 優里はドアノブを掴み損ね、額をドアにぶつけてしまった。 「だ、大丈夫か優里?」 「えへへ、はい……大丈夫です」 額を痛そうに擦りながら、苦笑いをする優里は、今度こそしっかりドアを開けて、部屋を出ていった。 俺はまた優里のベッドに潜った。 何だか甘い匂いっていうか……行ったことは無いけどラブホよりもよっぽど狼になれるこの部屋の魔力。 そして毎日優里が眠るこのベッド……ドキドキして眠気は一気に吹き飛んだ。 でも寒いからベッドからは出なかった。 ―*― 「ごはんですよ~!」 一階から聞こえる優里の声。なんかもう夫婦みたいで……萌え……いや、何もない。 先程まであんなに出たくなかったベッドをアッサリ脱出し、俺はドアノブに手をかけようとする。 ゴン 「ぐえっ!?」 優里の二の舞になってしまった。誰も見てないのに凄く恥ずかしかった。
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