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きょとんと見上げて首を傾げた高耶を抱きすくめると、直江はそのまま唇を重ねて、不意打ちのキスに驚く身体を、優しくソファーに押し倒した。
「ちょっ、直江?」
「ね?ちゃんと、いただいてるでしょ?こうやって…」
「!」
抵抗する隙も与えられず覆い被さられて、高耶は遅ればせながら意味に気づいた。しかし時既に遅く、シャツのボタンは器用に外され前をはだけられて、露になった胸元に、音を立ててくちづけが落とされていく。
「もう…っ何でいっつも、こうなる…の?…は、ぁん……ッ」
抗議を示そうとした声も、背を滑る手のひらにあっという間に吐息に変わる。
机に向かいっぱなしだった試験期間中、禁欲だったのは高耶も同じなのだ。ほんの些細な刺激にも、零れる喘ぎを抑えられないとあっては、気づかないうちにいつものふれあいに飢え乾いていたと訴える正直な肌を、否が応にも意識せざるを得ない。
直江はその様子に満足げに笑むと、長い指先でウエストをくすぐり、爪の先を潜り込ませて素肌との境をなぞっていく。反対の手で、既に熱を帯びた昂りを服の上からなでられて、とうとう抵抗を諦めた高耶は、広い背中にしがみつきながら、呆れたため息をついた。
「何でおまえってヤツは…っあ、こんなに余裕が、ないんだよ…。いい年して、もっと余裕持たなきゃ、んッ…ダメだろ…う?」
途切れ途切れになりながらも説教を零す高耶に直江が苦笑する。
「年の話は余計でしょう?それに、私はもう待てないんですよ」
言いながら上気した頬にくちづけ、
「何日おあずけをくらってたと思ってるんですか?もう二週間も、キスひとつしてないんですよ…?せっかく大人しく我慢してたのに、あなたがあんなふうに微笑って『ありがとう』なんて言うから、すっかり我慢の限界ですよ。もうこれ以上、一秒だって待てません」
きっぱり言い放たれて、責任転嫁された高耶は潤んだ目で直江を睨んだ。
「んだよ…。オレのせいだって言いたいのかよ…ったくおまえは…」
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