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『……お前の事を…嫌いになんかなるわけねぇじゃねぇかっ!!』
俯いた元親は何かに耐えるように拳を握り、自身を落ち着かせるように荒く息を吐き出した。
『――出来る事なら…俺だって、今すぐお前をカッ攫いてぇよ。
――こんな危なかっしい奴を他の奴等になんか任せたくねぇ!!
………でもな……。
…俺はお前に生きて欲しいんだ。
忍びとしてじゃなく、一人の女として………。
お前には生きて欲しい。』
ずっと好きだった穏やかで優しい海みたいな碧い瞳が真っ直ぐに私を見ている。
そして……生きて欲しいと微笑んでる。
私は……ずっと元親と居たいのに……どうすればいいのか分からない。
『……迎えに行くからよ。』
意味が分からず元親の顔を見つめる。
『……そんな顔すんな。お前の寿命が尽きたら迎えに行ってやっからよ。』
元親はいつもの笑顔で幸里の頭をクシャクシャと撫でた。
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