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「いらっしゃいませー、あっスティ達だ!」
「ターニャ、ごめんねいつもいつも」
鐘のついた扉を潜ればティモティーの看板娘であり友人でもあるターニャが、いつもの笑顔で迎えてくれた。
「気にしない気にしない!いつものところに座っといて!ヤンー!スティたちが来たよー!」
兄の名前を呼びながら奥に消えていった彼女から視線を外して、いつもの席に座る。
日当たりが良くてポカポカしている良い席だ。今の自分には日差しが目に痛いが。
「おー久しぶりだな!元気かー?」
「病気だったらこないよ」
グラスを乗せた盆を持ってやってきたヤンにツバメが冷たく返す。彼はターニャの双子の兄だ。
「はっはー相変わらず冷たいなーツバメ!まだ女と間違えたの根にもってんのか―?」
「お前の目が腐ってんだろ」
ニコニコ笑いながら横目にあたしを見て、彼はまた口を開く。
誰も口には出さないが、彼がツバメを女と間違えて口説いたのはこのあたりじゃ有名な話だ。
「んで、またスティはこの我儘な二人に流されちゃったってとこか」
「「我儘じゃない!」」
机をたたきながら、リウルとツバメが揃って怒鳴る。
そんな二人をハイハイと笑いながら流してヤンは慣れた手つきでグラスを置き
このやり取りを見慣れているあたしは、すでに近場にあった本に目をやっていた。
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