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「この森じゃコンパスは役立たずだからね、目印でもなければ迷って一生出てこられやしない」
町に戻るよう躾けてあるという彼の馬にリオを任せ、入り組んだ森の中を歩いて進む。
「じゃあ、あんたはどうして道が分かるってのよ」
人二人分ほど太さのある木の根を乗り越え、リウルの手を引っ張りながらそう聞けば、「フェスカでいいよ」と微笑んだ彼はすぐ傍にあるこれまた太い木をステッキで叩いた。
「僕は通り慣れているのさ、これが火山への目印一つ目、ほら、他の木と違って幹が紫がかっているだろう?」
「確かに・・・」
確かに、意識してみれば周囲の木に比べその木は少しだけ色が変わっているように見える。
「この森にはこういう色のついた木がそこらかしこに生えていてね、とある法則に基づいてそれを伝っていけば火山へたどり着くんだ」
「法則?」
「そう、法則。さて目印の色の種類は全部で7つ、最後は赤色、そして巡り巡って8つ目にはまたこの色に戻る、さてさてそれじゃ次の目印は何色でしょう?」
彼が指した先には3本の木がそれぞれの方角あった。
左方向は少し焦げたような緑色、前方向には薄い黄色、右方向には深い藍の色をした木がそれぞれの方向を示すように生えている。
楽しげになぞなぞを唱える彼を呆れた目で見ていれば、引き上げたリウルが今度はあたしの手を引いた。
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