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あたしの手を引いて、彼女はラークとフェスカの前を無言で通り過ぎる。
「やぁやぁ無視とは手厳しいねぇ」
剣幕な様子のリウルをからかうように笑うフェスカにため息ついて、後へと続く。
すると彼女はぴたりと足を止めて、こちらを振り返った。
「答えは右よ」
「ふむ、理由は?」
「あなた、七色といったでしょう。そして初めが紫で終わりが赤だと・・・あたし昔、兄様から聞いたことあるの」
彼女は、あたしを隠すようにフェスカの前へと立ちふさがる。
「頭は紫、目は藍、首が青くて胸は緑、足は黄色で爪が橙、そしてしっぽが真っ赤な、宝石みたいな『エルダ』っていう七色の鳥がこの世界にはいるんだって」
兄様も見たことはないらしいけどと続けて、彼女はその方向へと指をさす。
「ここはエルダの森、同じ名前だわ。だから貴方の言った法則は『虹の法則』、だから紫色の次は藍色なの」
そう言い切って、合っているなら早くしてと牽制するように言った彼女は、男たちをしり目にこちらへと向き直る。
「スティ、あの男に言葉に惑わされちゃダメだよ。きっと、うぅん絶対悪いことしかおこらないわ」
「うっ、うん、分かったから」
念を押すように「絶対よ!」とリウルはいうと、またあたしの手を引っ張って先へと進む。
いつもの彼女らしくない姿に驚きながら、無理して肩を張っているようなそんな後姿を、手を引かれるままに追った。
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