13024人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇスティ!今度スティのおうちに行ってもいい?」
突然本の前に顔を出したリウルの言葉に、本から目を逸らすことなくあたしは言葉を返す。
「うち狭いからダメ。」
「そりゃ貴族の家に比べたら庶民の家は小さいって。」
ツバメがこちらに目もくれずに、グラスに口を付けながらそう呟き
「ツバメには聞いてない!」と怒りながら、リウルはまたこちらに向きなおった。
「えー!そんなのあたし気にしないよ?だからお願い~」
あたしが読んでいた本を退かし、彼女は手を合わせてすがるように上目遣いでこちらを見てくる。
小動物のような愛らしい目に一瞬負けそうになったが、ぐっと堪えて、あたしは心を鬼にした。
「ダメ。だってまた稽古サボる気でしょ。」
「うっ、それはその・・・」
リウルは言葉を濁らせて目を泳がせる。どうやら図星だったようだ。
最初のコメントを投稿しよう!