人になるのって大変ですね

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じいさんの話が終わった。 母親は俯いていた。 セリスは…寝ていた。 「…もう何回も同じ話をして飽きたじゃろう」 母親がセリスを自分の部屋に移動させた。 正直…突っ込んでいいのか分からない。 僕は黙ってしまった。 「…お主は、この世界の者ではないな」 「…!!」 気づいてたのか。 っていうか始めから人間扱いしろ。 「今まで世界に異界人が来ると不吉なことが起こった。この村の付近に異界人が来たならば村に不吉が起こる」 えぇ…何かむちゃくちゃなことを言ってるよ 「明日の朝、出て行ってもらおう」 「い、いや。だったら、僕の世界の帰り方を…」 「そんなの知らん」 そんなぁ… 僕はがっかりした。 僕は一生この世界に居なくちゃいけないのか。 友達とか家族とか全てを捨てて… 「…だがないとは言い切れん」 え? 「しゃぶしゃぶの国から出た伝説の1人…それは爬虫類族ではなく人であった。それも異界のな」 「…それじゃあ」 「うむ、戦いの後異界人は突然いなくなったと聞く。おそらく異界に帰ったかもしれん」 なるほど。まだ帰れないってことではないのか!! 「あ、ありがとうござ…」 「もう寝ろ。奥に空き部屋がある。明日は早いぞ」 そう言って、じいさんは自分の部屋に戻った。 そうか…帰れるのか…
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